Contents
酸性縮毛矯正(酸性ストレート)とは?
酸性縮毛矯正とは?を知るには通常のアルカリ縮毛矯正との違いを理解しないといけません。
まずくせ毛が真っ直ぐになるメカニズムを簡単に説明します。
くせ毛になる原因は2種類あると言われています。
一つは毛穴のゆがみにより毛が形づくられる時期に曲がった状態で固定されてしまい、結果くせ毛になります。
もう一つは成長過程でのホルモンのバランス、血液量などでクセ毛になるという事です。
縮毛矯正剤では毛髪が形を保っている水素結合、イオン結合、S-S結合の3種類の結合を切り、真っすぐにした状態で再結合させる事でクセ毛を真っすぐにする事が出来ます。
そんな素晴らしい薬剤の縮毛矯正剤ですが、今まで縮毛矯正剤をいえばアルカリ性の薬剤しかありませんでした。
くせ毛を伸ばすためには強いパワーの薬剤が必要であり、その為には還元剤が活性化する”アルカリ性”である必要がありました。
しかし、現在では還元剤の進化や考え方、ニーズの変化により”酸性域で縮毛矯正をかけよう”というアイデアが出てきました。
酸性縮毛矯とは、アルカリ性、酸性を判断するPH(水素イオン値)が7以下の酸性域の縮毛矯正剤の事を言います。
なぜ今、酸性縮毛矯正が必要なのか?
全頭のフルブリーチ以外にも、白髪ぼかしのハイライトやハーフブリーチ(減力したブリーチ)にもブリーチ剤を使います。
海外ではブリーチは当たり前なので、日本も近くなってきているのかもしれません。
ともかく、ブリーチ人口が増えれば髪の毛がダメージしている人も増えます。
とくに、ブリーチ毛と縮毛矯正の相性は最悪で、縮毛矯正の薬が髪の毛についた瞬間にチリチリになってしまう。なんて事はザラにありました。
そんな中、マニアな美容師達がそれぞれに、研究を重ねて、アルカリ縮毛矯正を酸性化させる事に成功して、酸性縮毛矯正が完成します。(当時僕もめちゃくちゃ研究していました。)
酸性の縮毛矯正剤は製品として販売されていますが、健康なバージン毛からダメージ毛まで幅広くくせ毛を真っ直ぐにする為には薬剤が弱すぎました。
そこで、通常のアルカリ縮毛矯正剤に酸性アミノ酸を加えてPHを落として、還元剤をプラスする方法が最適解の一つとなりました。
次で詳しく説明します。
通常のアルカリ性縮毛矯正剤を酸性化させて、酸性縮毛矯正にする方法
通常、縮毛矯正剤のPHは9〜10程度あります。
この場合ブリーチ毛やダメージ毛に使用するとアルカリ剤により過膨潤が起こり髪がぐにゃぐにゃになり千切れます。
そこで、PHを下げるためにコハク酸やクエン酸を使います。
コハク酸はぶどうの皮の酸味です。
クエン酸は柑橘類の皮の酸味ですね。
美容室専用のPH調整剤も販売はされています。
それを利用しても良いですし、個別で販売されているクエン酸やコハク酸、アルギニンを使用してもPHを調整する事は出来ます。(コスパ重視)
コハク酸やクエン酸のパウダー等をミックスしてPHを設定したPHに下げていきます。その都度リトマス紙やPHチェッカーでチェックします。
これでPH7以下の酸性域まで下げていき縮毛矯正剤を酸性化させていきます。
まだここで終わりではありません。
酸性対応の還元剤をミックスする
還元剤の代表である、チオグリコール酸はアルカリ域でないと活性化して力を出せません。
そこで、酸性域でも働く還元剤をミックスします。
代表的なものが2つあります。
GMT(グリセリンモノチオグリコ
スピエラ(ラクトンチオール)
この2つを用途に合わせて2%〜10%程度でミックスします。
この2つは臭いが強く臭く感じる事があります。
ちなみに、GMTやスピエラ単体ではPH表記はされませんが、ベースとなる縮毛矯正剤と混ぜるとベースの縮毛矯正剤のPHは下がります。
ですので、混ぜる順番は
ベースになる縮毛矯正剤にGMT、スピエラを混ぜてから酸性アミノ酸(アシッド)を混ぜてPHを測って下さい。
用意するモノ
ベースになる縮毛矯正剤
チオグリコール酸矯正剤
システアミン矯正剤
酸性アミノ酸(アシッド)
コハク酸
クエン酸
酸性域でも使用可能還元剤
GMT
スピエラ(ラクトンチオール)
リトマス紙
PHチェッカー
手順
毛髪診断をしっかりして薬剤のスペックを決めます。PHはダメージと髪質(太さ)をベースに決めます。
クセの強さは還元剤やアイロンで対応します。
1 ベース剤をミックスする。(チオグリコール酸とシステアミンの2種混合)
2 GMT、スピエラを加えてミックスする。(チオグリコール酸、システアミン、GMT、スピエラの4種混合にする)
3 アシッドを混ぜてPHを下げていく。コハク酸よりクエン酸の方がPHは低いので少量ずつ加えて、よくかき混ぜる。めちゃくちゃしっかりかき混ぜて下さい。
4 リトマス紙やPHチェッカーでPHを測る。リトマス紙の方が簡単で、PHチェッカーの方が正確です。
酸性縮毛矯正のメリットデメリット
メリット
アルカリ縮毛矯正に比べると圧倒的にダメージが少ない
アルカリ縮毛矯正に比べると柔らかく、ナチュラルに仕上がる(ピンピンになりにくい)
ブリーチ毛にも対応する
黒髪、ハイライト混合毛にも対応する
アイロン操作によってカールをつける事も出来る
メリットはめちゃくちゃ多いです。
デメリット
太毛、健康毛、バージン毛のくせ毛のクセを伸ばす事は出来ない
健康毛の場合クセが戻りやすい
PH7域 中性縮毛矯正
アルカリ性縮毛矯正、酸性縮毛矯正と分けずに、調整を中性域であるPH7域に留めて中性縮毛矯正として使用する事もおすすめです。
アルカリ性縮毛矯正より柔らかく、自然に仕上がり、酸性縮毛矯正よりしっかりクセを伸ばす事が出来ます。
両者の特徴を兼ね備えていて、カラーやパーマを一回以上している多くのお客様層に喜んでいただける技術です。
まとめ
●酸性縮毛矯正の特徴をしっかり理解して使おう。
●酸性縮毛矯正はパッケージで買うのではなく、用事用剤でそのお客様に最適な物を調整して作る。
●アルカリ性か、酸性かにこだわるのでは無く、目の前のお客様のクセ毛を柔らかく、自然に伸ばす事を目的にした方が良い。
●中性縮毛矯正に調整した薬剤はカラーやパーマを一回以上施術している髪であればより多くの方に対応出来る。
私たち美容師はお客様に喜んでいただけるため日々勉強しています。
あなたじゃないとダメだ。そう言ってもらえる美容師になれるよう頑張っていきましょう。
コメントを残す